(2)初級『土』




●鉢の植え替え

 鉢中の土量は限られ、また多くの灌水により土中の微量養分や要素が流出してしまいます。そのため、年に一度は土替えが必要と言われています(休眠期に行ないます)。土替えの方法は、いくつかありますが、全替えする場合はまず鉢をひっくり返してばらを鉢から取り外し、根から土を取り除きます。その際、細かい根は切れても問題ありません。逆に多少切りそろえて新しい大きめに用意した鉢に収まるようにした方が好結果が得られるようです。

(第44回町田ばら作り教室資料)

 最近では微量成分をも補う良い肥料が出回るようになり、鉢根がパンパンになった状態を解消する目的以外では土を全替えする必要が無くなっているとも言われています。水耕栽培技術がそれを証明しているとも言われています。




●土の調合

 鉢植えの土は次の配合を目安に行ないます。よりよい花を目指す人は、これらの調整土を1年ぐらい寝かせてから使用するなどの工夫も見られます。
調整土の配合例
●赤土・赤玉土          5リットル
●完熟腐葉土・完熟堆肥牛糞   5リットル
苦土石灰熔成りん肥      100グラム
マグアンプK           30グラム
 最近では「ばら用」を唄った沢山の専用用土が販売され、上記の用土を元に遅効性有機肥や微生物成分などを配合した調整土も多くみられるようになりましたが、ばらの鉢植えでは土中に肥料は混合ぜず、植えつけた後に遅効性肥料を置き肥をすることが良いとされ、市販の培養土等を購入する際は過剰な肥料の混入を避ける意味でも記載されているEC値などを参考にして濃度障害を予防することも必要です。なお緩効性肥料と言われている、ク溶性肥料やマグアンプ等のコーティング肥料は根酸によりゆっくりと溶け出して肥料効果を発揮するため、発酵熱の心配もなく、用土にブレンドして鉢植えに使用することができます。

(第44回町田ばら作り教室資料)



●土壌酸度の調整

 土壌は通常化学肥料の利用や雨水等の影響で酸度が強まり、土壌の酸度調整をした方が良い場合があります。ばらの生育期をよく観察していると、それが必要かどうか教えてくれます。例えば、ばらの植えてある場所に生える雑草によっておおよその酸性度を判断できます。
 もし、「カタバミ」が生えてくる状態でしたら「弱酸性土」でそのままでばらにちょうど良いといえます。一方、「スギナ」の生えるような土壌では酸性度がかなり高くなっている可能性があり、苦土石灰などの石灰分を蒔き、酸度調整する必要があります。なお、石灰分はカリ肥料の施肥と1週間以上離して蒔くほうが良いと言われています。石灰分もカルシウムの補給になり、カリと同じように耐寒性を高めたり、細胞膜の強化に役立ちます。ただし、やりすぎると、弱酸性どころか弱アルカリ性に移行し、ばらの生育を悪化させることにもなります。

(第44回町田ばら作り教室資料)



●土の団粒構造を作る<堆肥ばかりが有機物ではない>

 有機物というとまずは堆肥を思い浮かべますが、有機物は堆肥以外にも利用形態として、3つに分けられ、「発酵させる」、「火を通す」、「水を通す」があります。発酵はぼかし肥作りなどでよく知られている方法です。ぼかし肥は土中で比較的速やかに分解し、効果が良好であることが特徴です。火を通すことでは灰にしたり炭にしたりとミネラルの供給源になったり、分子サイズの微細化で吸収力の向上が期待されます。水に通すでは油粕の腐汁を液肥代わりに与えるなどです。
 土の団粒構造を作る目的は有用微生物の居住環境からも重要な要素です。多孔質の資材(木炭、モンモロリナイトゼオライト)などを投入することで土の表面積を増やし、微生物の居住空間を確保し、肥料成分の吸着保持できる場所を増やすことができます。

(第145回町田ばら作り教室資料)



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